手の麻痺で字を書くのが苦手な人が、字を楽に書けるようになる方法と字を書くメリット

手が不自由な自分が字を書けるようになるのか判断する方法

※ 本サイトにはプロモーションが含まれます

手の麻痺で字を書くのが苦手な方「字を書きたいと思っても、上手く書けない、、、自分はもう字を書けないのだろうか、、、」

こんな悩みに答えます。

「時間は必要」ですが、適切な練習方法を積み上げていくことで字は書けるようになります。

字がうまく書けないと、練習を継続することができなくてやめてしまう人が多いです。しかし、継続するための行動を習慣化することで字が書くことができます

本記事の内容

  • 字を書くことのメリット
  • 手の麻痺の部位と程度による対応方法
  • 試しに一度字を書いてみる
  • 字を書くための練習方法
  • 継続するための、行動の習慣化

上記について、訪問リハビリで”字を書きたい”という声に向き合ってきた経験をもとに解説します。

この記事を書いた人
ヒロピノ

探究と挑戦を楽しむ理学療法士
医療・介護領域でのリハビリテーションを提供

ヒロピノをフォローする

字を書くことのメリット

字を書くことのメリット
スマホやパソコンが普及している現代では、あまり字を書く機会が少なくなっています。

しかし、「字を書くこと」にメリットはとても多いので、あらためて確認しましょう。

字を書くことで得られる6つのメリット

字を書くことで得られる6つのメリットは、

  • 記憶力の向上
  • 思考の整理
  • 文章力・語彙力の向上 → 伝える力がつく
  • ストレス解消になる
  • 過去の出来事を記録として残せる

特に記憶力は、使わないと衰えてしまうもの。字を書くことは、書きたい文字を記憶の中から思い出し、その文字の形を手の運動に変換していく作業なので、記憶力を高める手段になります。

リハビリの視点でのメリットは、字はうまく書けたかどうかが結果として目に見えるところ。どこが悪かったのか客観的にわかるので、自己修正しやすいことがとても効果的です。

歳を重ねるにつれて、人と会う・話す機会が減り、毎日テレビを一方的に見続ける時間が増えていっていないでしょうか?

そうなると自分の頭の中の記憶を引き出しから引っぱりだす機会も減っていくので、認知症にも繋がっていきます

皆さんおわかりだとは思いますが、字を書くことは、手の運動とともに記憶も鍛えられるとてもメリットの多い行為です。

できれば毎日の簡単な日記を書くなど習慣にできるとよいでしょう。

手の麻痺の部位と程度による対応方法

麻痺の程度による対応方法
手の麻痺の部位と程度によって対応方法を変える必要があります。

手の麻痺の部位と程度による場合分け

手の麻痺の中で、手指・手首・肘・肩の麻痺の程度によって、具体的な手段を変えて対応することも必要になります。

肩・肘までは動かせるが、手首から手指が上手く動かせない方

肩・肘を動かすことができれば手指の動きを補助する自助具を活用することで字を書きやすくすることができます。

逆に手指は動くが、肘から肩が動かない方

手指が動くというのは、字を書くうえで、強みです。

机や椅子の距離や高さなどの環境を整えることで、肘や肩の位置を適切に調整すれば字が書きやすくなります。

肩・肘・手首・手指の全てが全く動かない方

全く動かない場合には字を書くことは難しいため、反対の手で書く、あるいは音声を文字化するなど別な方法を考えた方が賢明です。

試しに字を書いてみる

試しに字を書いてみる「字が書けるだろうか?」と尋ねてくる方に多いのが、まだ不自由な手で字を書いたことがないというのが僕の肌感覚でとても多いです。

「書く」という以前に「書けないんじゃないだろうか」と思い込んでいる状態ですね。

まずは字を書いてみましょう。「字」が難しければ、「○」とか「線」でも構いません。

綺麗な字ではなくても、カタカナやひらがなを読める程度に書ける場合には、「字を書く練習を積み上げる」ことで確実に字を書けるようになっていきます。

反対の手でも書いてみましょう

反対の手でも書いてみましょう

利き手と反対の手で書いてみると、思ったよりも書けることに気づきます。

字を書く目的が、書類へ署名や住所などを記載する、あるいは仕事で必要な場合には、利き手と反対の手で字を書くことを進めた方が、短期間で習得できるでしょう。

いわゆる「利き手交換という手段」です。

字を書くことだけでなく、ご飯を食べる、歯磨きをするなど、麻痺のある利き手よりも、反対の手で行うと、生活の質は短期間で向上するので、目的に合わせて手段を選択しましょう。

字を書くための練習方法

字を書くための練習方法
練習するのはもちろんですが、まずは環境を整えることからはじめます。

ペンの選び方

ペンについて

食事を反対の手で食べる場合には「箸」ではなく「スプーン」でというように字を書く場合にも、「道具」は重要な要素です。

一般的なボールペンは、紙との抵抗が強く滑らかに動かしにくいもの。

そのため、はじめはクーピーなどの滑らかに抵抗少なく紙の上を書けるペンをおすすめします。

椅子や机などの環境を整えるポイント

椅子や机などの環境設定について
椅子や机などの環境を整えることも大切です。

特に机の高さは字の書きやすさに直結し、低すぎる・高すぎる机では首や肩へ負担がかかり、手首や指に力が余計な入りやすくなります。

机と椅子の環境を整えるポイントは、

  • 足元のモノを整理し、椅子をしっかりと引く
  • 足を床につけて、土台を安定させる
  • 背もたれから少し離れて、背筋を伸ばす

上記のポイントを押さえることで、字を書く姿勢が安定し、肩や肘に余計な負担をかけずに字を書くことができます。

補助する自助具を活用する

手首から手指が動かしにくい、ペンや鉛筆などを保持することにかなり努力を要する場合には、自助具の活用が望ましいです。

自助具により、動きや固定性を補助することができます。自助具の種類によっては、ペンをキャッチャーという部分で保持してくれるモノもあります。

書字の自助具は下記の2つ。

ユニバーサルニューカフ(フセ企画)


ユニバーサルニューカフの特徴は、

  • 指でペンを持つときの腕、手首の動きが自然な形に近づく
  • 手の形状になじむように曲げられる板で、手の大きさにピッタリ合わせられる
  • キャッチャー部分がペンを保持し、角度調整がしやすい

上記のとおりで、特に麻痺があって力を入れているつもりはなくても、勝手に力が入ってしまう場合に効果的です。

サイズ 全長約19.5cm
重量 39g
素材 アルミPL、塩ビコーティング、ステンレス、ナイロン

ユニバーサルニューカフについては、使い方の手順や調整方法について解説していますので、気になる方は下記の記事をご覧ください。

楽書(フランスベッド)


楽書の特徴は、

  • 素材が柔らかく調整も自在で、ソフトな装着感
  • 自分で手の形に合わせてフィットさせやすい
  • キャッチャーはゴムバンドのため、ペンを保持することとペンの太さが必要

自分で調整しやすく、柔らかいのでフィット感がとても良いです。

ただし、キャッチャー部分がゴムバンドのためペンの保持やペンの太さが求められます。

サイズ 全長約26.5cm
重量 32.5g
素材 本体/鋼線、シリコン、カバー/合成皮革

字を書くための簡単な課題から難しい課題への取り組み

字が上手く書けない方は、はじめから字を書こうとすると全身で力んでしまう方が多いです。そのため、字を書く前に簡単な課題からはじめていきましょう。

簡単な課題

はじめは真っ白な紙に○、△、□など単純なものを、できるだけ力まずに書く練習をしましょう。

そのあと、書いた○、△、□の中を綺麗ではなくても構わないので塗りつぶします。塗り絵が好きであれば、簡単な塗り絵を塗りつぶすことからはじめてもよいでしょう。

塗りつぶしがある程度思い通りにできたら、直線、波線を縦や横・斜めへ書いていきます。

この辺りが簡単な課題です。

難しい課題へ挑戦

いきなり自由に書くのも一つですが、大抵の場合は、小さく歪んだ字になりやすいので、大きな文字をトレースすることからはじめましょう。

はじめは文字の大きなひらがなやカタカナを練習し、トレースして、自分がどの方向に見本からズレるのか確認します。ズレの特徴を意識して自己修正していきます。

余計な力が入りやすい方は、時々肩や肘をリラックスしつつ、課題に取り組みましょう。

少しずつ上手にトレースすることができてきたら、新聞やチラシの文字もトレースしていきます。同じことをずっと繰り返すのは飽きてしまうので、文字の大きさや字体の変化も工夫の一つです。

継続するための、行動の習慣化

継続するための、行動の習慣化最後に、「字を書きたい」と思っていても、途中でやめてしまう、諦めてしまう方がとても多いです。

「うまく書けるようになると思えない」、「これを続けてもできないんではないか」と思ってしまうことが理由として考えられます。

字を書くことを継続するには、生活の中に字を書く習慣を落としこむことが必要です。例えば、買い物する品物をメモ書きするときに麻痺のある手で書く、日記をつけるなど。

週に1回の訪問リハビリで毎回練習し、2ヶ月から3ヶ月くらい継続すると、以前は読める時が書けなかったのに、気づくと自助具なしでもメモ書きができるようになった人を目の前で見てきました。

もちろん全ての方が同じようにできるとは思いません。しかし、字を書くことを諦めずに継続すると、字が書けるようになることも事実です。

この継続することは一番難しいポイントですが、字を書く練習の仕方は大体決まっています。線を書くことからはじめて、文字をトレースし、実際に字を書く練習をする。

あとはやり続けられるかどうかです。ぜひ自身の生活の中の行動に「字を書くこと」を落とし込んで、目標を達成しましょう。

まとめ:手の麻痺で字を書くのが苦手な人が、字を楽に書けるようになる方法

まとめ:手の麻痺で字を書くのが苦手な人が、字を楽に書けるようになる方法
手の麻痺で字を書くことが苦手な人が、楽に字を書く方法と字を書くメリットについて解説しました。

字を書くことは、記憶力を鍛え、認知症の予防にもつながることです。利用者さんの中には、毎日漢字のクロスワードを欠かさずやっている方もいます。

もちろん字を書く目的はそれぞれですが、自分から脳を使う習慣をつけていくことがとても大切です。

あとは、日常の行動にどう落としこむか、それができれば字を書くことも叶います。
この記事を参考に日々の行動に良い変化があれば幸いです。