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パーキンソン病の進行に伴う症状と対処法について知りたい方「パーキンソン病と診断されたんだけど、この先どんな症状が出てくるんだろう、、、だんだんすくみ足が強くなりその場で止まってしまうことがあり、どうすれば良いか分からない、、、。」
こんな疑問に答えます。
本記事の内容
- パーキンソン病とは
- パーキンソン病の症状の経過
- 実例紹介:診断から10年、訪問リハビリ介入から4年の経過
この記事を書いている僕は、訪問リハビリでパーキンソン病の方のリハビリを行い、症状の進行に合わせてその時にできる限りの対応してきました。
今回は、パーキンソン病と進行にともなう症状についておさらいし、実例をとおした症状の進行やその時の対処方法について紹介します。
パーキンソン病とは
パーキンソン病は、10万人当たり100~150人(60歳以上では100人に1人)が発症する進行性の病気です。
60歳以上では100人に約1人で高齢化がすすむ現在患者さんは増加しています。
中脳の神経伝達物質であるドパミンが減少することで起こります。
パーキンソン病は遺伝はしないと言われていますが、若年で発症する方では親から子へ遺伝する様子が見られ、原因遺伝子も確認されています。
しかしながら、パーキンソン病の根本原因および根本治療方法はまだ見つかっていません。
パーキンソン病は、進行段階によって、あらわれる症状が異なります。
とくに、進行期には運動症状だけでなく、合併症もあらわれるため、医師への相談と適切な対策が必要です。
パーキンソン病の症状の経過
パーキンソン病の診断に至るまで
パーキンソン病と診断されるのは、運動症状があらわれてからが一般的です。
しかしパーキンソン病では、運動症状に先駆けて、非運動症状があらわれることもあります。
非運動症状とは、主に精神面にあらわれる障害です。
パーキンソン病の非運動症状
- 自律神経失調(便秘・動悸・めまい など)
- 不安・抑うつ
- 幻覚・妄想
- 嗅覚障害
- 手足のしびれ
- 睡眠の問題(鮮明な夢を見る、夜中に何度も目が覚める、入眠時に脚がむずむずする など)
- 思考が緩慢になる
- 言葉が出にくい
- 体重が減る
非運動症状は、発症前だけでなく、パーキンソン病の発症後にも進行します。
上記の非運動症状に加え、手足の震えや筋肉の硬直といった運動症状が顕著になると、パーキンソン病と診断されます。
パーキンソン病の初期
運動症状があらわれると、パーキンソン病と診断されます。
パーキンソン病の初期では、症状は3年~5年かけて進行するのが一般的です。
パーキンソン病の初期では、特有の運動症状が目立ちます。
パーキンソン病の代表的な運動症状
- じっとしているときに手足が震える(安静時振戦)
- 筋肉が硬直して手足・関節が動かしづらくなる(筋固縮)
- 体のバランスがとれなくなる(姿勢反射障害)
- 動きが遅く・小さく・少なくなる(無動)
病初期の治療は薬物療法が中心です。
発症後3年~5年は治療の効果が出やすいため、「ハネムーン期」とも呼ばれます。
パーキンソン病の進行期
ハネムーン期が終わると、パーキンソン病は「進行期」へと段階が移行します。
進行期は発症から3年~5年以降に訪れることが多いですが、病状の進行の仕方には個人差があります。
その他に進行に伴って出現する運動症状
- 表情が乏しくなる
- しゃべりにくさ(構音障害)
- 飲み込みにくさ(嚥下障害)
- よだれが出やすい(流涎)
- 歩行時の腕振りが少なくなる
- 歩行時に前に突進して止まれない
- 足がすくんで前にでない(すくみ足)
- 字が小さくなる(小字症)
- 食事・入浴などの動作に時間がかかる
- 眼瞼けいれん(まぶたがあけにくい)
- 手や足の指の変形
- 姿勢異常(側彎症、前屈み姿勢、首下がり、Pisa症候群)
上記のとおり。多彩な症状があります。
進行期では、運動合併症があらわれます。
具体的には、「ウェアリングオフ現象」と「ジスキネジア」です。
ウェアリングオフ現象は、治療薬の持続時間が短くなる現象です。
治療薬を服用しても、2~3時間で効果が切れてしまいます。
一方、ジスキネジアとは、薬が効いている時間内に意思に反して身体が勝手に動いてしまう現象です。薬が効きすぎている状態です。
パーキンソン病の進行期の症状
- ウェアリングオフ現象(薬の効き目が悪くなり、症状の波が大きくなること)
- ジスキネジア(薬が効いている時間内に、身体が勝手に動いてしまう現象)
実例紹介:診断から10年、訪問リハビリ介入から4年の経過
それでは実例を紹介します。
パーキンソン病の診断に至るまで
10年前
- 歩いている時に前のめりになること
- 字が小さい
- 小声になる。
という症状がはじまり。
翌年の初詣で転びそうになるがなんとか持ちこたえるが、
その後
- 手のふるえ
- 上着の袖が通しにくい
- ボタンかけにくい
- ズボンが履きにくい
などの症状も出現してくる。
病院受診のきっかけは
- 前のめりになる傾向が強くなった
- 新聞を読む手が震えてきた
上記のとおり。そして、パーキンソン病の診断を受ける。
診断後からハネムーン期
診断後は、薬により症状は顕著に軽減し、外来通院を続け4年経過する。
ハネムーン期から徐々に進行期へ
4年後の春
- すくみ足が悪化
- 屋外では介助が必要になる
- バス・地下鉄に乗れなくなる
上記のとおり、徐々に症状が進行。
すくみ足の悪化が進んだため一度しっかりと薬を調整するため入院し、自宅退院。
その時状況は以下のとおり。
- 一人で近所の散歩には行ける
- だが、バスや地下鉄には介助が必要
- 飲み込みが少し難しくなり、食事ではトロミをつけるようになる。
訪問リハビリの開始へ
上記の状態で1年経過した頃
- 信号を渡るのが難しい
- 自宅内でもすくみ足の症状が強くなった
上記のため、訪問リハビリを開始。
その時には短時間のデイサービスを週2回利用し、週1回はカラオケサークルに参加。
はじめに試したこと
- 信号を渡ることについては、渡った先までの歩数をイメージすることで軽減
- 自宅内のすくみ足に対して、床にテープを貼って対応
- 廊下の暗い場所ではよりすくみ足が強かったため、人感センサーを利用
床のテープははじめは効果がありましたが、徐々に慣れてしまい効果がなくなったため外しました。
まだ、ご家族と一緒に1km〜1.5km程度は歩行可能で、近所は一人で散歩に行っていました。
幻覚の出現
- 白い板のようなものが上から降りてくると何度か訴えあり。
→医師へ相談するよう伝え、薬の変更あり。
ミオクローヌスの頻度増加
- ミオクローヌスという寝入る時に足がピクつく症状が頻回になり、眠りにくいと訴えあり。
→薬の変更と呼吸法やストレッチポールでのリラクセーションを実施。
気分の落ち込み
- デイサービスで、他の人と比べると自分が一番動きが悪いと 落ち込みを訴えるようになる。
→デイサービスの担当者に訴えを共有し、対応してもらう。
食事時間の延長
- 食事時間が1時間半から2時間となる
→まずは、食事姿勢の指導をする。
- 徐々に食事時の体の傾きが強くなりPisa症候群と呼ばれる症状が強まる。
→レンタルしていた車椅子にFCフィットという体幹サポートを追加し、車椅子へ座って食事することへ変更。
すくみ足の増強
- さらにすくみ足が強まり、自宅の中で止まってしまうことが多くなる。ご家族の声かけでもなかなか足を出すことが難しくなった。
→杖の先に割り箸をつけてすくみ足を軽減する。
この杖の自作方法についてはこちらで解説しています。
洗面動作(歯磨きや入れ歯を入れるなど)で腰痛が出現
- 歯磨きや入れ歯を装着することにとても時間がかかること、立っている姿勢が前、そして横にも傾いているため腰に負担がかかりやすい状態でした。
→睡眠時や自主運動時に膝下に大きめのクッションを入れてリラクセーションするよう設定
→洗面動作では、洗面台の下のクッションを取り付けて腰痛軽減。
この腰痛の軽減方法について下記の記事で解説しています。
デイサービスへ行くときもすくみ足が強い
- 介助があってもすくみ足が強く前に進めないことが増えた。
→屋外用の杖の先に竹をつけてすくみ足へ対策
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そして、今もご家族とともに在宅生活を続けている。
以上、診断から10年、訪問リハビリ介入から4年経過した内容でした。
ほんとうに多彩な症状があり、進行に合わせて対応していく難しさを感じながらも、なんとか症状を和らげたい、工夫できることはやっていきたいと思い対応してきました。
このような経過が何かの参考になれば幸いです。